地域デザイン事例おむすびと汁と茶 6SUBI
名称 | おむすびと汁と茶 6SUBI |
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仕様 | 観光施設型飲食店 |
開店日 | 2020年10月 |
客単価 | 1,500円 |
概要
新潟県長岡市にある摂田屋エリアは、古くから発酵・醸造のまちとして栄えたエリアで、今もなお味噌、醤油、日本酒の蔵や歴史的建造物が残るまちです。
2020年10月に観光拠点となる「摂田屋発酵ミュージアム・米蔵」がオープンし、次いで併設店舗として「おむすびと汁と茶 6SUBI(むすび)」がオープン。
おむすび・汁(スープ)といった軽食や手軽に楽しめるスイーツなど、摂田屋エリアでつくられた食材や発酵食品を活かしたオリジナルメニューを提供しています。
摂田屋の美味しい魅力を食を通して伝えて、近隣の蔵紹介なども行うことで街歩きにも繋がっています。食を通した地域デザインが地域を繋ぐ取り組みになり、古くからの観光地が魅力溢れる街へ変わってきています。
デザインが生まれた理由/背景
発酵・醸造蔵や歴史的建造物がメインで、観光地としてはシニア世代に人気のある場所であった摂田屋エリア。しかし、バスツアー等の時間の制限がある中でめぐる観光では、古い歴史の中で育まれてきた魅力を伝えきれないこと。また、発酵・醸造蔵が数多く密接するエリアにもかかわらず、その食の魅力を体験できる場所が少ないことに課題を感じていました。
生産者さんや地元の人しか知らないような食材や、扱い難いことから市場価値がない食材。そんなここでしか味わえない食材が持つ魅力は、ここにしかない飲食店を通じて味わってほしい。魅力あるものを現代風にアレンジすることで、若年層にも地域の食を楽しみ、感じるきっかけとなる場所を作りたいと考えました。
経緯とその成果
まず大切にしたのは、摂田屋エリアにある蔵との繋がりです。それぞれの蔵の魅力をしっかりと深堀して、それらの魅力が詰まった食品を作ること。6SUBIを通してお客様に摂田屋の魅力が伝わることで、食材や蔵への興味関心を持ってもらうことが一番の狙いでした。
それにより、「食べてみたい!行ってみたい!」という想いで摂田屋を訪れるような、お客様が主体性を持った観光を創ることを目指しています。
現在では、今まで訪れることが少なかった若年層や女性のお客様も増え、摂田屋エリアの観光入込客数も年々増加しています。
これまでの実績
摂田屋エリアをつなぐお店ができたことにより、様々な地域連携が始まりました。蔵元や近隣商店街がタッグを組んだまちづくりの取り組みや、様々な店舗が参加する「朝マルシェ」の運営、各蔵とコラボした商品開発事業など、今までにない新しい取り組みが次々とスタートしました。
また、摂田屋地域そのものが魅力的なエリアとなることで、近年ではエリア内での新規出店も数多くなり、小さな輪が少しづつ大きくなっています。
2023年「新潟ガストロノミーアワード 飲食店部門」では6SUBIが受賞し、まちと人を食で繋ぐ店舗の取り組みが評価されました。
デザインのこだわり
従来の摂田屋は、発酵食品を中心とした食品製造業のまちというイメージでした。
「おむすび」というカジュアルで誰もがなじみのある商品を看板メニューとし、そのおむすびの具に摂田屋らしさや新潟らしさを詰め込むことで、手軽な街歩きや観光につながるイメージを作りたいと考えました。
また、それぞれの蔵の魅力を俯瞰で見て発信することで、飲食店だけでなく摂田屋の文化や街そのものが活性化する動線を作る役割も担っています。