地域デザイン事例SHO SUZUKI NIIGATA

名称 SHO SUZUKI NIIGATA シリーズ
仕様 食品(調味料、茶葉、菓子等)
発売日 2015年9月
販売価格 380〜1,500円

概要

新潟県は大きく分けて上越・中越・下越・佐渡の4つの地域に分類され、それぞれの地域に風土の違いや、その地に根付く食材、昔ながらの郷土料理といった食文化が存在します。SHO SUZUKI NIIGATAシリーズは、そんな新潟ならではの食の魅力を、より多くの人に知って・味わって・楽しんでいただきたいという想いを調味料やお菓子といった手軽に楽しめる食品に込めてお届けしています。

デザインが生まれた理由/背景

地域に根付く伝統野菜や郷土料理といった食文化は、栽培の担い手不足や需要の減少から、現代で途絶えてしまうほどの危機に直面しています。そんな現状に対して、飲食店を営み食に関わる人間としてなにができるかを考え開発したのが本シリーズです。様々な理由でなくなりかけている食材に新たなエッセンスを加えて加工し、商品として手に取ってもらうことは、食文化そのものを身近に感じることにつながります。また、生産者と密なやり取りをすることで、豊作になりすぎた分を全量買取したりB品や市場価値のないものを積極的に仕入れたりといったことも可能になりました。これらは地元の生産者支援だけでなく、フードロスの削減にもつながっています。商品を食した人々が地域の食の魅力を再発見し、さらには生産者や伝統、それらを取り巻く現状といった背景にまで想いを馳せることで、食文化を次の時代に継承する新たな可能性を創ることができると考えています。

経緯とその成果

飲食店を経営する中で、農家さんとは買い手と売り手の単純な関係ではなく、“共に地域の未来を考える協創者”として継続的なお付き合いをしてきました。仕入れ方法や栽培計画の相談などを年間通して積極的に行うことで、農作物の廃棄が減少したというお声もいただき、 伝統農法を用いた「酒粕にんにく」においては栽培量を当初の1.5倍に増やすことにも成功しました(2022年度)。現代の暮らしに沿った商品ラインナップは若年層や女性を中心に認知が広がり、現在は自社の店舗のみならず直売所や道の駅など様々な場所でお取り扱いいただいており、県内外のたくさんのお客様に手に取っていただいています。商品の味わいだけでなく、取り組みに対する取材や評価をいただくことも増えていることから、この活動が未来へ安心・安全な食のバトンをつなぐ取り組みのひとつとして、県内外さらには世界へ発信できるものであると確信しています。

これまでの実績

2016年より販売をスタートし、2022年度にはシリーズ累計販売数約5万点を突破しました。産地や各地域の食文化に着目したラインナップは、調味料やドレッシング、お茶やお菓子といった手軽に楽しめる商品を中心に全20種類を展開しています(季節や数量限定のものも含む)。
2018年には「d47 MUSEUM PtoP GIFT2018」において新潟エリア代表として選出され、地域課題に向き合って生まれた製品としての認識を高めることができました。また、一番人気の「越路バーニャカウダ」は、2023年4月に「新潟ガストロノミーアワード 特産品部門」を受賞しました。同部門の特別賞にも選出され、商品だけでなく取り組みに対する高い評価もいただいています。

デザインのこだわり

SHO SUZUKI NIIGATAの商品は、全てにそれぞれのストーリーがあります。生産者の想い、作物が生まれた背景、食文化や環境の特色といった“そこにしかない味”を、食品に詰め込んでいます。
食材それぞれに個性があるように、食品の仕様も様々です。食材の食感を楽しむソースもあれば粉末の調味料もあり、お茶や焼き菓子もあります。
食材の魅力を見つめて、一番その良さが引き立つスタイルを考えること。また、手軽に味わえることや、ちょっと新しい楽しみ方でその魅力を体験できることを軸に開発しています。


これまでの商品事例

  • 越路バーニャカウダ

    酒造りの街・越路地区で受け継がれている酒粕を堆肥に使う伝統農法を若手生産者が引き継ぎ、新たに栽培を始めたのが「酒粕にんにく」です。にんにくは栽培期間が長く、特に冬を越す間は土からのエネルギーをたくさん吸収する作物。豪雪地帯である越路の厳しい環境にも負けないようにと酒粕に含まれる豊富な栄養素を吸収したにんにくは、濃厚で風味豊かに育ちます。越路ならではのにんにくの美味しさと伝統農法の魅力を伝えるために、その味わいを最大限に活かしたバーニャカウダソースに仕上げました。

  • 三年味噌のバーニャカウダソース

    発酵・醸造のまち 摂田屋にある味噌蔵、味噌星六さんのお味噌を使用したソースです。元エンジニアというちょっと変わった経歴をお持ちの店主が、昔ながらの農薬・科学肥料を使わないこだわりの伝統製法で造った三年熟成味噌をアンチョビの代わりに使用し、バーニャカウダソースを和テイストに仕上げています。アンチョビも味噌も、同じ熟成させて作る発酵食品であることをヒントに、新潟らしいソースが生まれました。

  • 長岡巾着茄子ゆずジンジャー

    日本一硬い茄子とも言われる「長岡巾着茄子」は、長岡伝統野菜のひとつです。硬さの由来は信濃川河川敷の水源を活かした伝統的な農法で、水をほとんど与えずに栽培する方法からきています。また、その昔は水分量の少ない茄子は味噌漬けにして長く寒い冬を越すための保存食として加工していたそうで、信濃川流域の雪国である新潟ならではの伝統野菜とも言えます。煮崩れしないほど硬い特徴を活かし、しっかり味をつけて煮付ける甘露煮風の味つけに。柚子と生姜の風味を加えて、パスタソースや肉料理など幅広いメニューに活かせるソースにしました。

  • 山古志かぐら南蛮パスタソース

    標高400mの中山間地域に位置する山古志地域に古くから伝わる伝統野菜「かぐら南蛮」を使用したソースです。今では県内各地で生産されているかぐら南蛮ですが、その本家である山古志では種を守るための「かぐら南蛮保存会」の活動があったり、2004年に起きた新潟県中越震災の一時帰宅の際には種を持ち帰ったりするほど、山古志の人の暮らしと密接に関係している野菜でもあります。山古志のかぐら南蛮は、標高が高く平地との寒暖差が生まれることから、辛さだけでなく、甘みも感じられて濃厚。味噌炒めにして甘辛く仕上げる郷土料理「かぐら南蛮みそ」として昔から親しまれてきました。オイルベースのパスタソース風にアレンジすることで、山古志のかぐら南蛮ならではの甘みと爽やかな辛みを引き出したソースに仕上げました。


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